養護施設での体験

養護施設におてつだいに行った時のことを、私は忘れることができません。
これが、この家庭教師ONLINEを始めようと思ったきっかけの一つです。

 

わたしのかぐやひめたち

 

そこには4歳と5才の女の子がいました。

ゆりちゃん(5)とれいなちゃん(4)としておきましょう。

ゆりちゃんは、柔軟体操がめっちゃ得意な活発そうな女の子で、れいなちゃんは少しだけ内気に見える、おっとりさんのようでした。

2人は指導員の方がおっしゃったようにすぐになついてきました。

誰にでもなつく、確かに、と思いました。

 

夏の日で暑かったのでちょっとクーラーがあればいいのに、という感じの日。

でも、クーラーつけなくてもやっていけるので、

「じゃあ、水あそびしよっか」

と提案し、3人でお風呂場で手足を水で濡らし、ぱしゃぱしゃ、ばしゃばしゃ、ぴちょぴちょ、しゃばしゃばやっていました。

「気持ちいいねー」

「ほんと、ほんと!」

「ほらね、クーラーつけなくても、お水が冷たいから、からだの体温(たいおん)が下がってくれるでしょ?」

 

その内、ゆりちゃんは、いい気になって、お水をばっしゃーーーってかけてきそうになって・・・。

そうすると、れいなちゃんは、もっと気が大きくなって、お水ばっしゃーーー、ざっぱーーーん、ってやる寸前みたいなちょっとした興奮状態?

「ああ、だえだめ、そんなにやっちゃ。

もう、そんなにやるんだったら、じゃあ、お水あそびは、ここでおわりだ」

やりたくてやりたくてしょうがない二人をやめさせるのは大変でした。

私もちょっぴりだけ、もうちょっとやりたかった位でしたから。

 

今まで、この「夏はクーラーつくなくても水浴びでしのげる」って、よくクラスのみなに言ってたものの誰もしないんだけど、ああ、こうやって、ほんとうにやってくれる子供がここにいたんだ、とビックリしました。(わたしは、おとなに教えている先生です)

 

お昼の時間が少しずつ夕方に近づいていきます。

まだ、電気をつけるには早い、でも、ちょっぴり薄暗い感じがする時間帯です。

 

「よし、じゃあ、次は何か本でも読んでみよっか。どれがいい?」

2人は、どれがいい?どれがいい??って大はしゃぎです。

とうとう「かぐや姫」を選んできました。

「むかし むかし ある ところに・・。ああ、やっぱり、少し暗いよね。

じゃあ、窓ぎわに行って読もう!だって、ね、窓ぎわは、お外から明るい日の光が入ってくるから、明るいよ、きっと」

「いくいく」

と二人。

そうして窓際まで行くと、二人はぴったりくっついてきます。

壁によりかかって、窓があたまの上。

右にれいなちゃん、左にゆりちゃん。

「ほら?あかるいでしょ?」

「うん、あかるい!」

窓からのゆるやかな午後の日差しのもと、私達3人は、かぐやひめのページをめくってゆきました。

 

ばんごはんになりました。

ゆりちゃんは、ぴったりくくっついて隣に座っています。

 

でも、れいなちゃんが見当たりません。

 

「れいなちゃんは、よく、ばんごはんを食べたがらないの」

とゆりちゃんが教えてくれました。

 

ばんごはんがおわって、心配なので本を読んだ部屋に行ってみました。

案の定、れいなちゃんはいました。

そして、泣きじゃくっていたようだったので、

「だいじょうぶ?れいなちゃん」

と言って背中をさすってあげたら。

れいなちゃんは、わーっと言って、私の首に手をからめて、抱きついて泣いてしまったのです。

 

わたしは、生まれてはじめて、子供に抱きつかれる、抱きつかれて泣かれる、という経験をしました。

泣くと涙がこぼれるので、顔をうずめて押し当てられた私の胸はれいなちゃんの涙でぬれました。

 

私は、世界で一番尊いものがここにあるような気がしました。

私もれいなちゃんを抱きしめました。

「だいじょうぶだよ、だいじょうぶ。

もうだいじょうぶ。

れいなちゃんは、いい子だね」

 

かぐやひめも、ももたろうも、おやがいない子ども。

でも、そんなことに誰も気づかない程、いきいきと、その時代を生きました。

 

養護施設の子供も養育家庭の里子も、学校でいきいきするのは、やっぱり、勉強かなって。

勉強できないと、先生のお話聞いててもつまんないから。

やっぱり、お勉強ができると、楽しいし、うれしいよね。

 

家庭教師ONLINEは、全ての子供にお勉強の機会を与えたいと考えます。

養護施設の子供も養育家庭の里子も、全て。

親もいないし、国も払ってくれない、そんな子供も、やる気がある子供は。全て。

 

かぐやひめのように、かがやいていてほしいから。

ももたろうのように、りりしくいてもらいたいから。

 

私のかぐやひめたちとももたろうたちを、私は応援し続けようと思っています。

 

 

 

 

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